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<ネタバレ>一つのレイプ殺人をトリガーにして、とどまることを知らない不幸の連鎖。全く先が読めないという展開も含めて、コーエン兄弟の映画を彷彿させます。そして、「ファーゴ」以来、久しぶりに存在感のある (ありすぎる笑) フランシス・マクドーマンドでした。 本作の「ビルボード」は、コミュニケーション不全の社会のメタファーと思います。一方通行で煽るのではなく、初めからミルドレッドと署長が対話をしていれば、ディクソンとレッドが対話をしていれば、レイプ殺人一つだけで不幸は済んだ話。そもそも、母と娘が口論ではなく対話をしていれば、娘が暗い夜道を一人歩いて街に向かう愚行も回避できたかもしれない。怒りや憎しみは何も生まない、というよりは "対話" (コミュニケーション) 不足が生んだ悲劇のお話と思う。 また本作の広告用ビルボードの使い方は、匿名で個人に向けてメッセージを発信する、といった共通点から、ネットの投稿や掲示板を思い出します。時に相手 (個人) を一方的に誹謗中傷しているのに、書いた本人に罪の意識がない、という点もよく似ています。本作のテーマは決してネット社会の風刺ではありませんが、裏テーマとして含みがあるように少なからず感じました。 観応えはありますが、救いがない、着地点がもやっとしている、ミルドレッドやディクソンの行為に全く共感できない、以上からこの点数です。[良:2票]