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<ネタバレ>プラハの春という時代を、儚くも力強く生きた三人を描いた物語。権力や武力による弾圧、男女の倒錯した三角関係など、人間が持つ狂気を様々な形で見せつけられた映画でありました。題名でもある"存在の耐えられない軽さ"とは、どうやら二つの意味があります。劇中のテレーザの台詞を素直に解釈すれば、私はトマシュの人生の軽さに耐えられない、と言っています。別の解釈をするならば、それはテレーザ自身に対する自虐のようにも受け取れます。「私が愛するのはあなただけ。けれどあなたは何人も同時に愛せる。私に対する愛情はそれだけ軽くなるのよ。」というように。いずれにせよ、この物語を目撃した人によってそれぞれ違った解釈をすることができる、抽象的な表現であることは間違いありません。トマシュとテレーザ、激動の時代を力強く生き抜いた二人は、唐突に、それも拍子抜けするほどあっさりと最後を迎えます。人生とは選択の連続であり、戻って選択をやり直すことはできません。ただ、もしトマシュがサビーナを選んでいたなら、運命も全く違った形になったのではないか、と考えさせられ、何とも遣り切れない気持ちになりました。