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<ネタバレ>まず、半分はブラックコメディと思って観たほうがいい。何しろ群像劇の軸となる音楽界の大御所二人からして、「ヘブン」なんてふざけた名前のヅラ野郎と貧血ぎみの歌姫ですから。とは言え、もともとロバート・アルトマンは斜に構えてその本心を見せないところがあり、そのアメリカへの愛国心が隠せない映画であることは間違いありません。 映画は全編を通して、不景気や政治汚職にベトナム戦争の傷跡が見え隠れするし、停滞中どころか沈没寸前、そこには70年代の痛々しいアメリカの姿がありました。 そんな時代でも「歌」だけが心の拠り所と信じて観ていたら、ショービズ界の汚らしい裏側を見せつけられて、そして音楽フェスの銃撃テロ・・。しかし、続くシュプレヒコールのごとく圧巻の大合唱は、アメリカはどん底だ、もう歌うしかない、という開き直りと再生への願いが入り混じった群衆の「叫び」なんだろう。 大混乱の最中、一人会場を後にするベトナム帰還兵 (スコット・グレン) の姿が印象的。彼がベトナムに戻りたくなるほどこの国が愛想をつかれたのか、それともこの国がようやく戦争の暗い影を振り払うことができたのか。 ロバート・アルトマンは、シニカルな笑いを浮かべて我々に問いかけているようだ。