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<ネタバレ>お話そのものを面白いと思わない人はそうそういないのではないでしょうか。儚くて美しく、最後には散る綺麗な話です。
私は、登場人物の感情の起伏がとてもいいバランスだと思いました。茂兵衛とおさんは中盤まで愛情を隠し続け、大爆発してからはその火の勢いとどまるところを知りません。真っ赤な炎から真っ黒な煙がたっている不完全燃焼状態から、最後にはガスコンロの青い炎、完全燃焼へと至るこの流れ。肝心なところは見せずに、二人の落ち着いた表情だけでどのようなやりとりがあったのかわかる素晴らしい表現だと思います。
群像劇としてもとても優れています。各々のエゴがこれでもかと炸裂する様はなんと惨めなことか。自分の子供を役人に突き出す二組の親の表情の違いが本当に恐ろしくて、惨めでした。
溝口の映画を見るたびに俺は溝口が好きなんだなあと実感させられます。雨月物語にあった、宮川一夫によるびっくりするような撮影はありませんでしたが、本当に大好きな映画です。