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<ネタバレ>ちか子のもう一つの秘密が明かされないので、こいつ本当にヤバいやつなのか?と思ってしまう。打たれ弱そうで太宰治みたいな見た目とはいえ、弟を自殺させてしまうほどの衝撃があったわけでしょ?一連の耳打ちには。警察が職場にやってくるというのも…。共産党員が云々は置いておくとしても、底知れぬ恐ろしさを感じます。演出もまた良い。田中絹代が良一の部屋にやってきてからの照明の使い方はサスペンスホラー。江川宇礼雄の顔のせいなんだけど、ちょっと『カリガリ博士』っぽかったですね。影響があるんでしょうか?良一の葛藤が後半に生きていて、ちか子やべえ感に拍車をかけてますねー。素晴らしい。そしてラストシーンなんですが、あの号外はなんだったんでしょうか?たくさん伏せ字があって、未定稿みたいな感じでしたけど、これが共産党員という設定が抜け落ちた跡なんでしょうかね。こんな号外ではダメだよ…というセリフも、検閲のせいで思い通りの脚本を完成できなかったことを暗示しているのかも。…まあ、9日間で作った映画らしいので、その辺がどうなのかわかりませんけどね。小津安二郎のサイレント映画は退屈な作品が多いなぁと思っていたんだけど、これは面白かったです。おすすめです。