単体で見れば本作も十分に面白い作品なのですが、残念ながら藤沢 .. >(続きを読む)
単体で見れば本作も十分に面白い作品なのですが、残念ながら藤沢周平三部作「たそがれ清兵衛」→「隠し剣鬼の爪」→「武士の一分」の順に面白くなくなっています。これはおそらく慣れた監督が緊張感を失ってしまったが故でしょう。特に本作が致命的なのはメインのキャスティングで、木村拓哉×檀れい×笹野高史のセットでは、、まるで釣りバカや寅さんレベルのお気軽さを醸し出してしまっています。これはイタイ。
各キャスト自体はそれぞれに良い演技をしていますが、キムタクを筆頭に全体的にやたらと軽いのが悪目立ちしています。「たそがれ」の時に強調していた”幕末のリアリズム”はいったいどこへいってしまったのか。そもそも論、主役にキムタクを抜擢した時点で絶望的に詰んでいた訳ですが、しかしながら日本での興行成績を見ると藤沢周平三部作の中では本作「武士の一分」が最も売れたようです。この事実から見てもやはり日本の観客(および批評家)の質の低さが露呈してしまっているようにも感じます。
唯一特筆すべきは檀れいの猛烈な可愛さで、公開当時35歳ですがロリじみた少女のような雰囲気と、端正に整ったルックスは誰が見ても他人様から奪いたくなること必至。檀れいを見るためだけに本作を手に取っても良いレベルでした。というかこれくらいしか特筆すべき点が無かったような気がしますw
あと気になった点としては本作では「たそがれ清兵衛」と異なり、決着より前の段階でご丁寧にも練習シーンが差し込まれています(「隠し剣鬼の爪」も同様)。これは致命的で、、倒叙方式のような効果は得られず単に技ネタがバレてしまっただけのように思います。結果的に大いに緊張感を削ぐ結果につながってしまったように思います。
まあ結局のところ本作も「たそがれ清兵衛」には遠く及ばない並程度の映画作品だったなという印象です。富田勲の音楽に関しても非常に素晴らしかった「たそがれ」と比較して、本作では特筆すべき点がない極めて汎唐な音楽に成り下がっていたと感じます。かなりおまけしてこの点数としておきます。