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<ネタバレ>本作「コクリコ坂から」は「風立ちぬ」以上に意地悪な作品でした。一見さんお断り、分からない人は理解しなくてよいと明確に突き放した作風になっていて、それが悪い意味でちょっと鼻につくほどです。時代背景や地域特有の物や風景に精通していないと楽しめない作りになっていて、おそらく現在70-80代の人でしたら最大限に楽しめると思われますが、すでに老人である彼らが率先してアニメ作品を見たがるかどうか。(私の両親が空と同年代ですが、、生ぬるい恋愛要素を含んだアニメ映画を見たがるとは到底思えない)
とにかく説明が少なすぎるせいで世代以外の人では半分も楽しめないかもしれません。タランティーノ監督もそういった作風ですが、あちらの場合は分からない人でもそれなりに解った風に感じられてニンマリさせられますが、本作は分からない人は完全スルー、不勉強な人だとセリフの意味すら理解できない箇所もあったりして非常に不親切だと感じました。
しかし裏を返せばこの作品の裏に描かれている事実、事情、心情までも深く知り得ることができれば非常に楽しめる作品になっているのもまた事実。これほど描写やセリフにこだわった作品も珍しく、まさに唯一無二、評価が二分しているのもまあそれなりに納得できます。
私個人としては宮崎駿にはない優しい作風には心底感心しました。宮崎駿の強引な押し付けより、本作のようなやんわり曖昧な表現のほうが好きです。ただし繰り返しになりますが、作品を完全に理解するには鑑賞後の掘り下げ&再鑑賞が必須で、正直、娯楽作品としてはちょっと敷居が高くて難しい作品だといわざるを得ません。(雰囲気は決して嫌いじゃない)
最後に、恋愛状況がキモイという意見もみられますが、私としてはメルが好きな先輩と大きな障害もなく付き合えそうなラストでホットしました。二人には好感が持てるしお似合いのカップルだと思います。