イーストウッドが主演した作品は割と好きですが、彼が監督したほ .. >(続きを読む)
イーストウッドが主演した作品は割と好きですが、彼が監督したほうの作品はあまり好きになれません。彼の監督作で好きな作品といえば、、せいぜい初期の「パーフェクト・ワールド」くらいで、その他の作品は正直いって嫌いです。その理由として彼が監督した作品は妙に説教臭く、世間一般的な正義的倫理観を押し付けてくる感じがどうも馴染めないからです。
本作「クライ・マッチョ」も今までの流れ同様、お説教話のようによく出来たストーリーを上手く映画化してありますが、本作では今まで感じた妙な押し付けは無く、雑味・嫌味を感じませんでした。あるがままといった雰囲気で、なんといいますかイーストウッドのこの年齢(90歳)を映画に落とし込むことによって、何ともいえない独特な優しい雰囲気と深い味わいがハマった作品に仕上がっています。
物語としてはいわゆる「ぬるい」展開ですが、それでいいんです。実際問題、現実の世の中は「ぬるい展開」の連続で、それが日々毎日積み重なったものが人生になります。そういう見方をすればこの映画も優しいまなざしで見守ることができます。ただし、最後のマッチョの活躍は少々安易で微妙。
おそらく俳優としては本作がイーストウッドの遺作になると思われますが、ダンスシーンも素敵でなんとも味わい深い作品に仕上がっています。高評価とまではいえませんが今までの流れと比べると少し毛色の異なる作品、全く悪くない作品でした。夕闇に映えるカウボーイハット、西部やメキシコの風景も素晴らしかったです。イーストウッドに敬意を込めて!well done!