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<ネタバレ>吉永小百合さんが初めて自らプロデュースした作品。また、先日亡くなられた米倉斉加年さんの遺作でもあります。前半は永遠のヒロイン、吉永小百合節が炸裂しています。岬カフェの店主である柏木悦子の入れるコーヒーを飲みに医師や牧師、遠くからはるばるやってきた親子など様々な人たちが集まります。悦子は一杯のコーヒーに、目いっぱいの愛情を注ぎこみます。「美味しくなーれ!美味しくなーれ!」とジャムおじさんもびっくりな愛の魔法をかけたコーヒーは、みんなの心を掴みます。深夜、店に侵入してきた泥棒にまでコーヒーをご馳走し人生これからだと諭します。気持ちの悪いほどに優しく温かい悦子は聖母のようだ。みんなが昔から憧れてきた吉永小百合像がそこにはありました。後半は展開が一変します。30年来の親友である不動産会社に勤めるタニさんがこの地を離れることになります。漁師の徳さんの死も重なり、心にポッカリ穴が開き塞ぎがちになってしまいます。実は愛をもらっていたのは悦子の方だったのです。甥である浩司から想いを寄せられていることに気がつき、戸惑うシーンなど過激な描写もみられるようになります。クライマックス、台所から出火し炎が燃え広がるが一点を見つめ微動だにしません。有りがちなシーンではあるが、印象には残りました。その後、募金によって岬カフェは再建されます。要するにこの映画は、人間というのは支えあい助け合わなければ生きていけないのだ。愛って大事だよね。という典型的なヒューマニズム映画である。私は映画の内容よりも吉永小百合という女優の奥深さを知れたことが大きかった。いつまでも綺麗で優しいイメージの裏には、映画全盛期を生きてきて数多くの映画に出演しその数だけ苦労もしています。その陰の部分を隠すことなく、この映画の中でさらけだしてくれたことが嬉しかったです。