<ネタバレ>少人数のスタッフで瀬戸内の離島でロケを敢行。500万円程の低 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>少人数のスタッフで瀬戸内の離島でロケを敢行。500万円程の低予算で撮影された。全編通して会話がなく、わずかな音響が入るだけの新藤兼人監督の異色作。ストーリーも単純で、前半は舟で島に向かい水を汲んでは坂を登り畑に水をやる。それを淡々と繰り返すだけなのだが全く飽きません。櫂で水をかく音、砂道を踏みしめる音。土に水が染み込んでいく音。普段、気にも留めない音がこんなにも美しかったのかと驚きました。後半、2人の子供のうち1人を病気で失います。クライマックスで乙羽信子演じるトヨの気が狂ってしまいます。水桶を投げ捨て大事に育てた野菜を引っこ抜いた後、静寂を切り裂くように泣き叫びます。(この作品での乙羽信子の唯一の肉声)ただ、すぐに我に返り生活のために畑仕事に取り掛かるのです。人生の厳しさ、残酷さを見せつけた名作。