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<ネタバレ>「タブーに向き合った」「問題作」と評されれば製作陣もご満悦だろうが、
問題提起と言いながら、"ヒーロー"になりたかったタダの人殺しを喧伝しているに過ぎない。
ベースになった事件で犯人は自己愛性パーソナリティー障害と診断されており、
負担の大きい向いてない仕事に無理に留まらないで逃げれば良かったものの。
他のレビューでも書かれていた通り、多かれ少なかれ誰にでも差別意識はある。
暴れて言葉は通じない、糞尿を垂れ流して異常行動の数々を引き起こす。
もうこれ以上、面倒見切れない家族と職員の心の悲鳴。
綺麗事ではなく、対価がなければ善人ですらそんなものだろう。
だが、「それがどうした?」としか言いようがない。
そもそもホラー映画風の照明の少ない暗めの画作りで、フラットでもない両極端な価値観で職員たちを描いており、
そのテーマの先にあるものがないため、「みんな大変だね」「考えさせられるね」で終わってしまう。
2時間半近くかけて、変な使命感を持った幼稚な思考で凶行に及んでも大きなお世話で、
実際事件が起こっても社会は何も変わらなかったからね。
職員も入所者も待遇は変わらないまま、年一で事件を風化させないアピールして、あとは蓋をするだけ。
重い障害とは無縁の裕福な家庭にとって、どん詰まりで起こった他人事の事件に過ぎない。
YouTubeで入居施設の待機者が大勢いることが取り上げられ、予算削減で「地域の皆さんで頑張ってください」な状態。
きっとこの先も施設に預けられず家族が手に掛ける事件が増え、それすら日常になって、社会は事件の風化を待つだけだろう。
だからこそ、子供を失くした主人公夫婦の再起を描いたパートが作品の焦点をぼかしており、
結局何が言いたかったのか、何を視聴者に伝えたいのかが理解できなかった。
表面だけフワッとなぞった中途半端な本作では、啓蒙にもならないのは当然と言える。