<ネタバレ>抽象絵画風のタッチで描かれる、ニワトリを巡る大騒動。
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<ネタバレ>抽象絵画風のタッチで描かれる、ニワトリを巡る大騒動。
登場人物が鮮やかな一色で塗り分けられた思い切りに、様々な国のルーツを持つフランスの多民族性を象徴する。
デモやストライキが当たり前のように描かれているのもこの国らしい。
父親を亡くし、集合住宅での暮らしはカツカツ、娘は多感な時期で、母親も常に余裕がない。
思い出の大切な指輪を失くした件で理不尽に娘に当たってしまった母親が罪滅ぼしで、
家族の思い出の料理であるパプリカチキンを作ることを約束するも、
どこもここもストライキで閉店して、追い詰められた母はニワトリを盗んでしまい…。
15分あたりから話にギアが入って、大人も子供もわちゃわちゃするも、フランスらしいほろ苦さと翳りが見える。
誰もが自分のことで手一杯で何とか折り合いをつけて生きているのだから。
死と黒色は忘却の中に置き去りにされていくものであり、その中にカラフルが差し込まれて、
思い出として生き続けていくミュージカルにホロリとさせられる。
何だかんだで大団円でご近所さんと一緒にパプリカチキンを食べられて良かったね(ニワトリはお気の毒)。
フランスの倫理観や民度はどうよ?と思いつつも、主人公と同じ歳の時に自分自身を出せたらと羨ましくもあった。