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<ネタバレ>主人公の少年が間違って持ってきてしまった友人のノートを返しに行く。
たったそれだけだが、二度ノートを忘れた友人がスリーアウトで退学させられるのだから、
主人公は無事にノートを返せるのか終始不安な表情である。
隣の村に住んでいるのは分かっても電話すらないため詳細は一切分からず、
親族を含めて大人たちは彼の事情なんてお構いなしに自分の都合ばかり押し付けてくる。
祖父のエピソードが象徴するように、
言うことを聞かせるために理不尽な体罰を与える教育方針が当時のイランでは当たり前であり、
ただの労働力として個性を認めない抑圧的な空気が子供たちに影を落としている。
だが本作の製作当時は日本も昭和時代だったはずで昔は良かったと言えども、
体育会系の指導方法によって深刻な問題を引き起こした事案は珍しくなく、
世界中どこも変わらなかったのではないか。
少年は友人の家にとうとう辿り着くことができなかった。
明日の授業で友人の退学が迫る。
追い詰められた彼の最終手段と鮮やかな着地に程良い余韻が光る。
こうやって子供たちはしたたかになっていくのだろう。