<ネタバレ>
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<ネタバレ>
かつて、黒沢明の「生きる」をハリウッドがリメイクする
なんて話が話題に上っていましたが
この作品はこそ「生きる」のイーストウッド版でしょう、きっと
定められた死を前に何をしていいのかもさえ分からず
人付き合いも少なく、ただひとりで
芝刈りをして過ごす自分への焦燥感と虚無感
自分が育ててきた息子との距離や擦れ違いの埋め方が分からない姿
後悔以外、残されたもののない人生への懊悩
そんな苦しみの中から
力なく弱い立場の人に、未来を残すことに
残された自分の命を昇華させるこを決意して行動する
細かい設定こそ異なりますが
貧しい庶民は、隣家のモン族と少年タオ
庶民を苦しめていた環境汚染は、劣悪な治安
弱者が抗しきれない役所権力はギャングの暴力
主人公が残したかった公園は、穏やかになった町とタオの未来
置き換えてみても違和感を感じません
ラストの、情感あふれるウォルトの歌声に
グッと胸にこみ上げた人もいらっしゃると思いますが
あれこそ、まさに
「生きる」の主人公が、ブランコに揺られ歌っていた「ゴンドラの歌」
主人公の万感の思いが胸に染みこむような歌声です
舞台を現代のアメリカ社会に置き換えながらも
「生きる」に描かれていた大切な要素を残し
そして、余命を宣告されてからのわずかな時間が
ウォルトにとって満たされたものだったことをつたえてくれる、
優しく、穏やかな歌声
監督としても、主演としても
そして歌声までも、さすがのC.イーストウッドでした[良:3票]