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<ネタバレ>この作品は、私が中学生のときにロードショー公開されました。当時、配給会社は「スターウォーズをはじめとするコンピューターを使った特撮と対極にある、手作り特撮作品を作り続けてきたハリーハウゼンの集大成」と銘打って宣伝していたものです。残念ながら、往年のハリーハウゼン作品を見続けてきた人達からは「シンドバッド7回目の航海やアルゴ探検隊の大冒険のようなパワーが感じられない。ハリーハウゼンも老いたり」と、世間の評判はあまり良くありませんでした。しかし個人的には、①自分がギリシャ神話で一番大好きなペルセウスの冒険の映画化であること、②初めて映画館で見たハリーハウゼン作品であること、の2点から、特別な思い入れのある作品です。しかも、大画面で見たためでしょうか、コマ撮り特有のカクカクした動きが全く感じられず「こんなに動きが滑らかなのか!動きも緻密で、皆、本当に生きているみたいだ!」と感動しました。当作品最大の見せ場であるメデューサのシーンも、暗い映画館と相まって自分自身、逃げ場がないように感じ、ジワジワと近づいてくる演出に感情移入できました。また、フクロウのブーボーのコミカルな動きに対しては、その都度、劇場内から笑いが起こりました。ブーボーは「シリアスなストーリー展開の中、息抜き・ホッとさせる」という作り手の狙い通りのキャラクターとして活躍したのです。私にとって、一堂に会したお客が皆で楽しむという、映画館ならではの貴重な体験にもなりました。
そして現在…家でDVDを見るぶんには、当時の映画館のような体験はできませんが、新たな発見もありました。それは、画像処理についてです。公開当時、最後のクラーケンのシーンは、夕方であることを強調するためか、俳優さん達を撮影したカットも含めて、画面全体にオレンジ色の画像処理を施していました。そのため、他の色彩がつぶれ気味で、オレンジ一色の平板な画像の印象を受けました。この画像処理は、数年後にTV放映されたときも同様でした(録画もしてあり、確認済みです)。しかしDVD版は、この画像処理をしておらず、本来の色彩が蘇っていました。「ああ、やはり、こんなに綺麗だったんだな!」と安堵しました。
…と、かなり長々と書いてしまいましたが、採点については、今は亡きハリーハウゼン氏の最後の作品としての敬意と、個人的な思い出を加味し、思いきって10点を献上したいと思います。
平成28(2016)年8月30日(火)追記:テレビ東京で8/30(火)の昼に放送されたので、録画してみました。すると、約30年前の吹き替え音声はそのままで、映像はDVDと同様に画像処理をしていない色鮮やかなものに差し替えられていました。差し替えたスタッフさんの緻密な作業には恐れ入りました。こうなると、オレンジ色の画像処理を施した劇場公開版の映像はレア…ということはないでしょうが、当時のTV録画と見比べながら、これまでの年月に思いを巡らせました。年配者の呟きということでご勘弁を…。[良:1票]