<ネタバレ> 江戸川乱歩の生誕100周年にあたる1994年。出版業界をは .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ> 江戸川乱歩の生誕100周年にあたる1994年。出版業界をはじめ、映画でも、松竹系のRAMPO(黛りんたろう版/奥山和由版)や、カップリング公開された「押繪と旅する男(川島透監督)/屋根裏の散歩者(実相寺昭雄監督)」…と、巷が“乱歩ブーム”に沸く中、某名画座で、乱歩作品のオールナイト上映がありました。私は友人に誘わるまま観ました。
私は全く予備知識が無かったのですが、友人をはじめ周りの観客さん達は、みんな知っていたようで、上映が始まったときから、何かしら“期待”しているような独特な空気が場内に漂っていました。そして、ちょっとした場面で笑いが沸き上がりました。当初、私は「何で?」と思いましたが、話が進展するにつれて、確かに演出は、ちょっと“違う”ほうへ向かっているように感じました。場内独特のテンションは次第に上がっていき、そして…花火のように打ちあがって爆死し、宙を漂う兄妹のラストシーンは、悲しい場面のはずなのに、拍手喝采の大爆笑が沸き起こったのでした…。
後日、カルト的な人気のある作品であり、主人公の父親を演じた土方巽氏は著名な舞踏家であることも知りました。そして別の映画館であらためて再見しました。オールナイト上映のような笑いは沸かず、私としては一安心。良くも悪くも伝わってくる作り手のパワーを堪能させていただきました。そして、特に島のシーンでは、石井輝男監督と土方氏及び暗黒舞踏の皆さんが「我々は、安直に世間に迎合するような娯楽映画なんぞ創らないぞ!真の芸術を体現するぞ!」と熱く語り合いながら撮影したのだろうな…といったことも目に浮かびました。それにしても、当時の“乱歩ブーム”が無ければ、私はけっして観ることはなかったタイプの作品であり、不思議な因果を感じないではいられません。
さて、採点ですが…下手をすれば、いわゆる“お蔵入り”になりかねない作風でありながら、カルト映画として、多くの?人達に愛され続けているその不思議な力に敬意を表し、8点を献上いたします。
平成30(2018)年2月25日(日)変更: ↑の【イニシャルK】さんのレビューを拝読したついでに自分のレビューに目を通したら…冒頭の文面の「RAMPO」が「RAMO」だったことに気づいたので「P」を入れて修正しました。それだけの変更です。悪しからず…でも最後に…やっとDVD化されたんですね!天国で、石井監督や土方氏は、ほくそ笑んでおられる…かな?[良:1票]