<ネタバレ>赤いファミリアで旅をする三人組の微妙な関係が非常に魅力的でし .. >(続きを読む)
<ネタバレ>赤いファミリアで旅をする三人組の微妙な関係が非常に魅力的でした。
刑務所から出て来たばかりで色々な意味で人の温もりが一番必要なおじさんに若い男女が色恋トラブルで喚き散らしていれば健さんじゃなくてもバドミントンのラケットを持って説教したくなる気持ちは分かります。
武田さんと桃井さんの濃すぎるキャラは食傷気味な所も有りましたが、作品を引っ張って行くには十分ですし、この2人でなければ違うものになっていたと思います。
夕張の街を走り回り、大量の黄色いハンカチに気付き、その下での勇作と光枝が再開した一連のシーケンスは見せ方も素晴らしく、高揚感と感動を同時に味わうことが出来ました。
衝動的に殺人まで犯してしまった勇作を受け入れる光枝の姿は、罪を犯したどんな人間でも再起の機会はあるのではないかという監督の人間愛の様なものを感じました。
脚本や俳優さん達は非常に面白く俊逸な作品でしたが、映像等が気になってしまいました。
寅さんと違うタッチで描きたかったのかもしれませんが、粗いカメラワークやアングルは勇作と光枝が再開したシーンの2人のロングショットをアオリで撮っているカットなど良い所もあったので残念でした。
画的に動きや勢いを出したかったのだとすれば、失敗の部類に入ると思います。
必要無いカットや稚拙ともとれるカット割り等も目立ちましたし、音楽は時代を差し引いたとしても決して良くは無かったと思います。
キャラの濃い3人を乗っけて、脱輪して抜け出した次の瞬間に干し草に突っ込んだり、たこ八郎さんの頭とボンネットで勝負させられたり、最後にはラブホの代わりになっていたフロントグリルに穴の空いた赤いファミリアが愛おしくも感じてしまいましたし、名前がファミリア(家族)って何だかほのぼのしてしまいます。
邦画のロードムービーは余り見ていませんが、その中でも心に残る気持ちの良い作品でした。