<ネタバレ> 面白かったはずなのに満足度は低めという、不思議な感覚が残っ .. >(続きを読む)[良:2票]
<ネタバレ> 面白かったはずなのに満足度は低めという、不思議な感覚が残った作品。
内容としては、コンピューターによる人類への反乱という「コロッサス」から連なる王道ネタを扱っているのですが「携帯電話の誘導に従って、窮地を乗り越えていく」というテイストを盛り込む事により、上手く独自色を出していましたね。
シャイア・ラブーフも、お得意の「事件に巻き込まれた若者」を好演していますし、嫌味なタイプの主人公なのに、しっかり感情移入させてくれる辺りなんかは、本当に凄かったです。
じゃあ何故「満足度は低め」なのかというと……まず、終盤のカタルシスに欠けるんです。
クライマックスに用意されているのは「主人公の自己犠牲によって、政府高官の暗殺を阻止してみせる」という展開な訳だけど、その前の段階で「息子を人質に取られた母親に対し、自分を撃てと諭す主人公」というシーンが、既に存在している。
つまり「自己犠牲展開」を二度やる形になっており「あの自分勝手な主人公が、他者の為に命を投げ出している」という衝撃も、二回目の場面では薄れてしまうんです。
おまけに「主人公は命を投げ出し自己犠牲を行ったけど、結局は助かった」というオチまで二連続になっている訳だから、これは流石にキツかったですね。
その他にも「絵を描く趣味がある」「息子の誕生日を憶えていない」などのネタが、大した伏線になっていないのも寂しいし、黒幕であるアリアを倒すのが主人公じゃなく、脇役の少佐と捜査官というのも、ちょっと乗り切れないものがありました。
最後はハッピーエンドである事自体は嬉しかったし「携帯電話の謎の声に、人々が導かれていく」パートは、本当に面白かったんですけどね。
特に「電車の中で、乗客の携帯電話が一斉に鳴り出し、主人公が指名手配されていると告げる」場面なんかは、かなりゾッとさせられるものがあって、忘れ難い。
色々と粗はあるけれど、何だかんだで内容を忘れた頃に再見したくなるような……そんな、不思議な魅力のある一品でした。 [良:2票]