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<ネタバレ> あらすじを知って「これは絶対に面白いだろう!」と意気込んで観賞したのですが……何とも判断に困る代物でした。
まず、決して嫌いな作品ではないです。
むしろ好きな映画と言えそう。
コンセプトも良かったと思うし、主演の藤原竜也も熱演してくれていました。
全編に亘って漂う「真面目に馬鹿をやっている」感は、正に望んでいた通りの作風。
それでも語る際に言葉を濁らせてしまうというか、胸を張って好きだと言えないようなもどかしさがありますね。
理由を分析してみたのですが、こういった作品の場合、映画の中における「現実」と、劇中カメラが映し出す「虚構」とに、もっとギャップが必要だったと思うのです。
例えば主人公がワニと格闘するシーンは、現実ではショボいのに、カメラ越しの映像では意外と本物っぽく見える……という視覚的なバランスにして欲しかったなぁ、と。
それはピラニアが食い散らかした人骨も然り、作り物のヤーガも然り、ですね。
本作の場合、現実と虚構に明確な差が窺えない為「人々を楽しませる為に壮大な嘘をついている」という主人公達の恰好良さが、今一つ伝わってこないように感じられました。
中盤に主人公が行う「俺達が作っている番組は無意味なんかじゃない」という演説についても、長年こういった番組に携わっている立場の者ではなく、今回が初参加の人間が言う事なので、今一つ重みを感じられなかったのも難点。
このシーンは普段いい加減な言動の監督さん辺りに言わせて、それに感銘を受けて主人公も本気になる流れでも良かった気がします。
そんな風に不満点も多い品なのですが、眩しいような魅力が備わっているのも確かですね。
序盤、ゴミの不法投棄に怒っているだけのオジサンを「ヤーガの恐ろしさを身振り手振りで伝えてみせる村人」という設定にして、勝手にアテレコしてみせる場面は、本作で一番の笑い所かと。
「やらせ」を完遂しようとするスタッフに対し、大自然が嘲笑うかのように、あるいはご褒美を与えてあげるかのように「本物のヤーガ」がチラリと姿を見せる展開なんかも、ニヤリとさせられました。
終盤に遭遇する反政府ゲリラ達と絆を育む事となり、別れの際には互いに友情が生まれていたというオチも、凄く良かったと思います。
ヤーガが実在したという衝撃よりも、こちらの「現地人と心を通わせ合った事だけは本当だった」という場面の方が、じんわり胸に沁みるものがありました。
主演の藤原竜也に関しては、元々好きな俳優さんだったのですが、こういった映画でも頑張っている姿を見ると、ますます応援したくなりますね。
本人は続編も希望しているとの事なので、楽しみに待ちたいものです。[良:2票]