<ネタバレ> 中盤までは、とにかく退屈。
「自慰を家族に見られる」「 .. >(続きを読む)
<ネタバレ> 中盤までは、とにかく退屈。
「自慰を家族に見られる」「恥ずかしい動画が拡散しちゃう」っていう過去作のネタをなぞりつつ、淡々と物語が進んでいく感じで、全然ノリ切れなかったんですよね。
初代に出てきた「性書」が再登場した際には(おっ……)と思いましたが、それも読める部分が殆ど無くて役立たずっていうんだから、観ているこっちもガッカリ。
唯一魅力的なキャラである「主人公の母」は出番少なめだし、山場となる「下着の万引き」「お婆さん娼婦の死」に関しても、あんまり笑えなかったです。
そんな訳で、これはシリーズでも最低の作品ではないかって失望すら浮かんできちゃったんですが……
そこで颯爽と、ジムの父親が登場!
前作の「ハレンチ課外授業」での失態を帳消しにするくらい、一気に映画を面白くしてくれたんだから、もう嬉しくって仕方無かったですね。
ボロボロになった「性書」を復元していく様はスピーディーな演出で楽しかったし、結婚生活が35年続いた秘訣について「妻を愛し、妻を尊重してきたからだ」と演説するジム父の姿も良かったです。
本作においては「若者達を優しく見守り、アドバイスを与えてくれる」というジム父の魅力がしっかり描かれており、その点でも自分泣かせというか(ちゃんと、このシリーズの魅力を分かってる人達が作ってくれたんだな……)って、感激させられるものがありましたね。
そんなジム父が退場した後の、スキー旅行のパートも面白くって、序盤~中盤にかけてのグダグダっぷりは何だったのと不思議に思えちゃうくらい。
それまで全然魅力を感じなかったヒロインのハイジについても「スキー場の女性は綺麗に見える」の法則で、スキーウェア姿が実にキュートだったし、それまで「嫌な奴」だったスコット・スティフラーには天罰が下り、反省して「憎めない奴」に変わっていくしで、それまでの欠点の数々が、悉くプラスに転じているんですよね。
「魅力を感じないヒロイン」「不愉快なだけで愛嬌皆無のスティフラー」が、一本の映画の中で、こうも変わるものかと感心しちゃいました。
それと、前作で失われた「青春映画の切なさ」が復活している点も、忘れちゃいけない魅力。
空中で止まったゴンドラにて言葉を交わし、結ばれる男女の姿なんて、実にロマンティックでしたからね。
最後に「性書」の貸し出しカードにサインして、元の場所に戻すのも「童貞からの卒業」「青春の終わり」を感じさせて、良い場面だったと思います。
冒頭にて述べた通り「中盤までが退屈」っていう明確な欠点がある為、総合的に評価するなら6点くらいになっちゃうんですけど……
後半で一気に挽回してくれた為、鑑賞後の印象は良かったですね。
やはりアメリカン・パイシリーズって良いよなぁと、しみじみ思わせてくれた、そんな一品でした。