<ネタバレ>アカデミー脚本賞にノミネートされたのも頷ける力作コメディ。「 .. >(続きを読む)[良:2票]
<ネタバレ>アカデミー脚本賞にノミネートされたのも頷ける力作コメディ。「力作」と言ったのは、ちょっと力入り過ぎって意味も込めて。
内容は馬鹿馬鹿しくも、女性にとってはなかなか痛いところを突いていて興味深い。主人公の親友が結婚することになり、その「仕切り役」をめぐって女同士が張り合うってオハナシ。この「女のバトル」が辛辣で描写もしつこくて(苦笑)、アニー(クリスティン・ウィグ)の「イタさ」が見ていられない。この辺の「女の嫉妬」の描き方が上手いと思う。仕事も恋愛も失敗してドン底にいるアニーが、金持ちで美人でナイスな人柄のヘレン(ローズ・バーン)みたいな女を前にすると、惨めな思いになってしまうのはすごーく分かる。ヘレンは素敵なスピーチやセレブならではの取り計らいで、アニーの親友リリアンの心をグイグイ掴んでいく。そんなん目の当たりにしたら、「何もない私から親友の座まで奪うわけ?何でも持ってるアンタが?」っとアニーが怒り狂っちゃうのもよーく分かる。まぁ、その怒り方が尋常じゃないんだけど(苦笑)。「親友」ってね、なんか善人の必須アイテムみたいなとこあるじゃないですか。信頼しあえる友がいるってことが自分の人間性の担保になるというか、人としての価値を高めてくれる(気がしてしまう)というか。
私がこの脚本で感心したのは、ヘレンがとことん嫌な女ではないってところ。凡百のコメディならヒールはまるっきりのヒールだけど、このドラマはもっとリアリティがある。こういう女性っているよな~って感じのセレブ・マダムで、気配り上手で親切なのは別に無理して取繕ってる訳じゃなくて、ヘレンみたいな人はプライドが高くて向上心も人一倍あって自分を高めるための努力を惜しまないから、理想的な女性像を体現することを心から楽しんでやってるのだ(たぶん)。だから何も非難すべき点はない。だけど、なんか自分の人生うまくいかないよなって、しょっぱい思いで生きてるド庶民からしたら、どーにも気に食わない女。きっと高校時代はチアリーダーでプロム・クイーンに選ばれてたんだろうね。彼氏は運動部のホープで推薦で名門大学に行ったんだろうね。(妄想爆走中) アニーのような子はきっと、こういうメインストリームにいる人たちを「けっ」って斜めに見てたはず。ヘレンと初めて会った日の帰り道、車のなかで彼女の口吻をマネして溜飲を下げてるアニーを見て、「分かる、分かるぅ~」とシンパシーを覚えた自分でありました。私もマージナルなイケてない組だったもの。「桐島~」で映画撮ってる方の側だったもの・・・嗚呼。
・・・横道それたので戻します。
そんなダメダメなヒロインですが、まぁ主役ですから、ちゃんと救われますよ。この新しい恋のエピソードはとっても楽しい。コントみたいな面白シーンいっぱい。ただ、彼女自身の「自己実現」ってところは、他の方のレビューにもありましたが、中途半端に放り投げられちゃってて惜しい。あとは、汚物ネタ、エロネタのオンパレードですが、あちらではお約束のようだから生暖かく見逃すしかないですね。海千山千のおばちゃんは、なんとも思いません。[良:2票]