鎌倉妙本寺の総門と二天門の間には,ひとを正気に戻させる何かが .. >(続きを読む)
鎌倉妙本寺の総門と二天門の間には,ひとを正気に戻させる何かがある。ツィゴイネルワイゼンの豆まきのシーンでこのお寺が映るから言ってるのではない。
磁場,石や苔,樹木や葉,塗られたペンキ,コンビニ袋。それらを包む空気。「精神」という抽象的なものではなく,それらの物質がヒトに超好ましい影響を与える、その場所の一つが妙本寺なのだ。と,久しぶりに行って体感したのである。
そしてその「正気」とは残念ながら決して「善き現実」だけを見せるわけではない。可能なら遠ざけたい「死」や「理解が非常に難しいモノ」なども直視させ(確実に存在する!),それを鈴木清順は映画ツィゴイネルワイゼン中に結晶化したのであります。これ以上冷徹な映画は他にないだろう。何度も観たくなる。
この映画を観るのは今日でたぶん8回目だ。今回も非常に良かった。ヘルメットを被り,スポーツタイプの自転車で妙本寺に行ったのが再再再再再再再鑑賞のきっかけ。ツィゴイネルワイゼン現代版の撮影で,二天門からヘルメットをかぶって自転車で滑走する場違いで理解不能な異物として自分が参加しているような錯覚を覚えた。
清順ワールド恐るべし。10,10,10,10,10点!!