<ネタバレ>最初から最後まで続く緊張感に引きこまれた。
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<ネタバレ>最初から最後まで続く緊張感に引きこまれた。
特筆すべきところは少ない。アイディアや筋書きも既視感のあるものだし、露骨に詩的なカットも存在しない。
だが各シーンの造形の上手さが、そこらのリアリスティック"コント"とは違った切迫感を表現していた。
起承転結のような流れはない。ある一線が最初から最後まで図太く引かれる。
最初の5分も最後の5分も、劇中から抜き出した任意の5分と同等の価値をもつ、それだけの濃密な表現を成し得ている。
この無個性の良品、そして手に持ったオルゴールのような実感を伴う重たさ。
2015年に作られた作品にしては古典的な匂いが強すぎるきらいはある。絶賛するには地味すぎて、批判するには上質すぎる。
筋書きの分かりやすさから、アカデミー賞を受賞してしまったが、分かりやすさを追って見る場合この作品に魅力は感じない。