<ネタバレ> 優しくて面倒見もよく、近所では聖女のように敬われている二人 .. >(続きを読む)
<ネタバレ> 優しくて面倒見もよく、近所では聖女のように敬われている二人の老女が、13人もの老人男性を殺して屋敷内に遺体を眠らせている、希代の殺人鬼であった――。と聞けば、『サイコ』や『悪魔のいけにえ』も真っ青の恐怖ホラー映画と思いきや、その実は風刺やトンチの利いたドタバタ・コメディである。
第二次世界大戦もいよいよ大詰めとなる1944年、日本であれば国策映画しか製作を許されない非常時に、こんなに素っ頓狂な映画が撮れるというのは、さすがは自由の国アメリカならではと感心してしまう。
この時代、まだ高齢化社会の到来という緊迫感はなかったにしても、老人の孤独感と閉塞感というのは次第に米国社会でも問題視されていく流れが生れていたのかと感じる。
とにかく奇人変人大集合であるため、主人公ケーリー・グラントが負けじと奮闘している。グラントがここまで目をむき、奇声をあげ、ズッコケまくる役どころも珍しいのだろうが、長身でスマートな美男がとってつけたように過剰なコメディ演技でたたみかけてくるのが、途中で食傷気味になる。元々のキャスティングであったというボブ・ホープなら、もっと肩の力を抜いた自然体でドタバタを演じてくれたのではないか。