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<ネタバレ>“JFK”ケネディ元大統領と呼んでいた当時、少なくとも日本国内で、このイニシャルで誰を意味するのかを根付かせたタイトルでした。暗殺の映像は、テレビの『カメラが捉えた決定的瞬間』とかで何度か観ていました。確か初の衛星生中継で、日本でも暗殺事件が放送されたって言うから、ザプルーダー・フィルムがお茶の間でババーンと流れたものだと思ってましたよ、私は。
ネットの普及する前の時代、自ら劇場に足を運んで観に行く映画は、小さな子供も観る規制だらけのテレビより、より突っ込んだ真実に触れられる貴重な媒体でもありました。映画に先駆け『ケネディ大統領は政府に暗殺された…らしい』なんて陰謀論は聞いていたと思いますが、具体的に何がどう行われたのか?は、この映画で知りました。
3時間にも及ぶ映画は、暗殺が行われた当時から再現していきます。まず型通りの捜査をして、その3年後から暗殺事件としてドラマが動き出します。そして最後の約1時間を使った、クレイ・ショー裁判の迫力たるや、圧巻の一言です。公開当時はこの裁判シーンの模型の精密さに驚いていました。記録映像と綿密な証言から再現されたであろうジオラマ模型は、どこにどんな人物がいたのか、服の色から立ち位置まで、ここまで再現するのかという、捜査に対する執念に似たものを感じさせました。
そして“魔法の銃弾”のデタラメさ。実行がほぼ不可能なオズワルドのその日の足取り。テレビで観た暗殺の瞬間を、何度も何度も繰り返し流すことで、映画を観ている私も一緒に検証する感覚。数秒のフィルムの裏で1963年11月22日12時30分に何が起きたのか。それを3時間掛けて考えるというのは、とても貴重な体験でした。
先日、『13デイズ』を観てCGの再現度と可能性に驚いたばかりですが、改めてCG導入前の本作を観ると'60年代の“再現”も凄かったです。当時の車を配置するのは解りやすい記号ですが、服装、髪型、建造物と何処にもスキがありません。オズワルドの犯行再現で、教科書倉庫ビルからライフルを構えるギャリソン。ディーリー・プラザの俯瞰図の'60年代っぽさは、どれだけお金掛かってるんだろう?と心配になるほどです。この俯瞰図がしっかり再現されているから、裁判でのジオラマ模型の再現度がより引き立ってるんでしょうね。