<ネタバレ>二度と再視聴しないだろうと思っていた映画だが、たまたまCSで .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ>二度と再視聴しないだろうと思っていた映画だが、たまたまCSで放送されたのと、最近始めた趣味(レビューを書く)の為に観ることにした。20年以上前に観たっきりだが、ほぼ全編を覚えていたから驚いた。それだけ衝撃的でわかりやすく、印象に残ったんだろう。
ホロコーストを扱った映画で残酷な描写が多く、ものすごく重たい。こんな、精神異常者の衝動殺人みたいなことが、近代オリンピック後の先進国により国家主導で行われていたことが恐ろしい。
『映画ほどの善人じゃなかった。』とも言われているそうだが、彼の行なった結果は善行に他ならないし、それが出来るだけの権力を持っていた。プワシュフ強制収容所という閉鎖された空間で、共に絶対権力を手に入れた実業家オスカー・シンドラーと親衛隊少尉のアーモン・ゲート。
賃金の安いユダヤ人を使い、戦争で荒稼ぎをして金銭欲を満たすシンドラー。
下級将校でありながら強制収容所所長の座に付き、気分次第で人を殺害するなど、支配欲を満たすゲート。
シンドラーはゲートに酒や女を提供し、ゲートはユダヤ人女性とキスをして捕まったシンドラーを救う。この権力者二人は、飲み仲間で友人同士だ。
シンドラーを善行に動かしたのは会計士のシュターン。彼は常に死と隣り合わせの生活をしながら、一人でも多くの生活を向上させるための努力を惜しまなかった。
リストを完成させたときシンドラーに「このリストの外は死の淵です」と伝えるシュターン。シンドラーがこの言葉の意味ときちんと向き合えたのは、戦争が終わり自分が逃走するときだった。それだけ、奔走していたとも言える。
開放されたシュターンたちが、どこに行くでもなくその場で朝まで寝過ごしたことも、自由を奪われてきた期間の長さを物語っていて印象深い。
この映画では色んなシーンで対比が描かれる。豪邸を追い出され、雑居アパートに移り住むユダヤ人家族と、その豪邸に移り住み満足げなシンドラー。アウシュヴィッツから生還出来る列車に向かうシンドラーの女性たちと、列車で届けられたばかりの未来のないユダヤ人たち。沢山の石を積まれたシンドラーの墓石と、道路にされたユダヤ人の墓石。
対比と言えるか微妙だが、ユダヤ人を一列に並べて一発の弾で射殺するシーンがある。インディ3で、一列に並んだドイツ兵を一発の弾で倒すシーンがあったが、同じような構図で観る者に真逆の感情を与えるスピルバーグって、とんでもない監督だ。[良:1票]