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<ネタバレ>所有するDVD(未レビュー)の中で、一番上映時間の長いのが本作でした。原作もかなりの長編小説で、大きく3編に分かれているとのことで、最初は戸惑った各時代を行ったり来たりする映画の構成の理由が、何か納得できました。ただクライマーズ・ハイも時代が行ったり来たりしたっけ。
私は、アフリカ編の前段に当たる、労働組合と会社の闘いが一番興味深かったです。ストをタテに賃上げ要求(年末4.2?まじか…)に、時代と労働者側のエネルギーを感じ取れました。また会社側の陰湿な報復人事も巨大企業らしく、特に八木の扱いがあまりに酷くて怖くなりました。会社と労働者の闘いから、会社からの個人攻撃になるんだよな、恐ろしい。会社側の御用組合を創るところも、その経緯が裏側から観られて、とても興味深かったです。
御巣鷹山編がこの映画のメインだと思いますが、主人公の恩地は遺族係なので、会社や他の労働者のための大きな活躍をしません。あの労使交渉で、労働者の正当な賃金と空の安全を確保出来た。その報復として、恩地は海外の僻地に左遷された。にも関わらず『やっぱり事故は起きました。』では、どうにもスッキリ出来ないところ。遺族会の分断を図る行天の卑劣さが増していき、じっとりとした巨大企業の闇は感じられました。
会長室編でスカッとしたいところですが、行天という人物が、この時のために悪い方に育てられた人身御供でしたね。スタートは一緒だった恩地と行天。2人は国民航空の表と裏の関係なのでしょう。
3時間超えの超大作で、飽きずに楽しめましたが、3編それぞれが違うテイストのため、一本の映画としては平坦な印象でした。