<ネタバレ> -I, Tonya- “わたし、トーニャ”。すごいこの“他 .. >(続きを読む)
<ネタバレ> -I, Tonya- “わたし、トーニャ”。すごいこの“他に説明が要らない”自己紹介。
『みんな事件の大まかな顛末は知ってるけど、本人的には実際どうなの?』を、トーニャと元夫に語らせる。“ひどく矛盾してる気がするけど、真実のインタビューをモトにしている”みたいな初っ端のテロップ。とても面白い制作姿勢。
彼女の存在は例の事件で知ったんだけど、この映画のお陰で、彼女がアメリカ人女性初のトリプルアクセルを決めて優勝した人だって知った。彼女の家庭環境を考えると、すごい才能と血の滲む努力の結果だったと思う。
スターダムにのし上がる才能はあったのに、周りに足を引っ張られるトーニャ。…って言いたいところだけど、トリプルアクセルに失敗した原因と感想「私のせいじゃない」を本人に言わせて、暴飲暴食・体重増加の映像をチラッと流す。反省の色が見えないトーニャを観せる。
興奮したジェフに銃で撃たれて(!!)、頭から血を流してるのにジェフの車に乗せられて、スピード違反で警察に止められ、バレないようにニッコリ(!?)とか、悲劇なんだけど喜劇に思える。だけど腕にナイフが刺さってしまうシーンは、トーニャもラヴォナも、観てる私も「あぁっっ!」ってなった。単なるコメディにしないで、かといって重たくもしない、バランスが上手い。
時々俳優がカメラ目線で状況説明する演出。ロッキーⅣのトレーニングそのまんまやってたなんて大爆笑だけど、コーチのダイアンが「コレ本当にやったの」って微笑んでる。漫画みたいなキャラがいっぱい出てくる映画の中で、日本の漫画チックな表現を入れてくる。実写映画でCGの涙や怒り顔入れるより、ずっとセンスがいい。
フィギュアスケーターだったのに、ボクサーになったニュースに驚いた記憶がある。当時は“この人、売れれば何でも良いのかな?”なんて思ってたけど、事件から27年も経って、このタイトルで観客が入る映画になるのは凄いことだと思う。そして彼女の逆境だらけの人生と、積み重ねた努力を知ると、どこか可笑しくて、どこか尊敬してしまう。そして彼女だけが悪いのか?も考えさせられる。