「パーフェクト・ワールド」のプロモーションで来日の際、クリン .. >(続きを読む)
「パーフェクト・ワールド」のプロモーションで来日の際、クリント・イーストウッドのコメント。 “ドン・シーゲルは低予算で、且つ映画を2ケ月で作るコツを教えてくれた”。この作品は、まさにそう言った低予算で刺激的な作品を作る代表的見本である。CGを駆使し、迫力ある大作に見慣れてしまっている所為か、こう言った古い作風も反対に新鮮に思える。ただ作品の内容は、今までにあった従来のマンネリに右になれである。大統領の不倫をベースに殺人事件が起きて、側近ぐるみで隠ぺい工作を図る。しかしその現場をコソ泥が目撃していた。コソ泥なんだから証人にはならないし、放っておいても問題はないだろう、とふんだ大統領。しかしそこは映画。主人公は大統領へ挑戦状を叩きつける。この作品がかなりのレベルであることは認める。スリルもあり社会派的要素もある。しかしマイナス要因がない訳でもない。政府ぐるみで隠ぺい工作と言えば、最近のヒット作「エネミー・オブ・アメリカ」、大統領のスキャンダルをテーマにした「ワグ・ザ・ドッグ」。いろいろな傑作が登場している。これも元はと言えばクリントンの揉み消し疑惑からきているのだが、これだけ似た題材の映画ばかりとなると、手放しで歓迎していいのかと疑いたくなる。国家のトップのスキャンダルではあるが、我々と同じ人間のプライベートな話。余りに人間の弱い部分を取りだたし、よってたかって集中攻撃することが、そんなに娯楽として受け入れられて良いのだろうか?この作品は大統領を悪者にしている。まあこんな映画もたまには良いのかもしれないが、こう似たようなドジョウが泳いでいるとうんざりもする。本作は少なくとも「エネミー・オブ・アメリカ」ではない。迫力はないし緊迫した逃走劇もない。逆転で反対に大頭領を罠にはめもするが、決して奇想天外なトリックを使うと言う訳でもない。まして感動もない。とにかく低予算で、そこそこの映画を作る手腕を評価すると言うだけだ。期待して見なかったのでいい印象は受けた。しかしこの路線がクリント・イーストウッドの生命線なんだけどね・・・