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実際見てみると言うほど反米という印象は受けませんでした。直接米国への怒りを表明するようなシーンがあるわけでもなくどちらかというと被爆者の苦しみに寄り添うことに比重が置かれていると思います。今までほとんど封印作品のように扱われてきたのは不思議に思えますが、時代の経過のおかげである程度相対化して見られるというのもあるのでしょうね。大きく三つのパートに分かれている構成で、序盤は戦後の広島の学校が舞台となりこのパートは教育や地元紹介目的のビデオのような演出です。中盤は原爆投下前後の広島の様子の再現です。ここが一番時間も長く製作費もかけられた部分でしょうが、今見ると時代の制約上致し方ないのですが絵の具を塗りたくっただけのような特殊メイクには真実に迫った力があるとは言い難いです。そして終盤は戦後の焼野原となった後の広島で生きる子どもたちの姿が描かれます。これが今見ると一番新鮮で、ハングリーとも呼ばれる原爆孤児たちや島から脱走をはかる子どもたちの姿がまるではだしのゲンのようで面白いです。この終盤のエピソードを膨らませて一本の映画としたら面白そうですが、やはり今でははだしのゲンの影響力の方が大きすぎてそちらで十分ではありますね。