どこか食い足りなさを感じた。それは、決して拷問シーンが描かれ .. >(続きを読む)
どこか食い足りなさを感じた。それは、決して拷問シーンが描かれないことからくるものではない。冒頭で死を受け入れる覚悟をしたデップの死までの1週間を描くのがこの映画のテーマだが、いまいち死への恐怖や家族への愛情からくる内面的葛藤が伝わってこないのだ。だから、2時間にわたって描かれる最期の1週間のほとんどのシーンが、家族との絆を確認するアットホームな物語で終わってしまったのだ。デップお得意のポーカーフェイスがこの映画で裏目に出てしまったのは、自分自身を客観的に演出することのできなかった監督としての力量不足が原因なのだろう。同じ実力派若手俳優で監督としての才能も遺憾なく発揮するショーン・ペンとの演出力の差は明白である。