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よかったです。これを見ると、フランスが旧植民地のインドシナに寄せる未練というか、ねっとりとした恋情を感じます。映画の中でもそういう表現が出てきますが、仏印の関係はちょうど愛憎相半ばする恋愛関係のようなもので、フランスが豊かで誇り高い暴力男ならば、ベトナムは、豊かさとしおらしさ、そしてそのかげに、鋼のような強さと狡猾さを併せ持った美しい女性。で、たぶん、フランスがベトナムを想っている方がちょっと勝っている。映画は冒頭から、濃厚なアジア趣味・中国趣味でして、(やっぱり文化の高い同士は惹かれあうんでしょう)ベトナム相手にこうなのですから、フランスが中国を植民地にしていたら、えらいことになっていたという感じがします。このなかで決して若くはないカトリーヌ・ドヌーブのまあ美しいこと。ばけもんですね。(ヴァンサン・ペレーズのよさは、今ひとつわかりませんが)老いていく女性の恋と諦念、一緒にいることで惹かれていく惰性の恋、こうやって恋愛を生々しく酷薄に描くところ、フランス映画はいいです。[良:2票]