ナチスドイツ占領下において,カルネはじめフランス映画人の威信 .. >(続きを読む)
ナチスドイツ占領下において,カルネはじめフランス映画人の威信をかけた大作だが,モノクロ・スタンダードのため,「いかにも大掛かり」という感じはしない。フランス映画らしく,スカッとわかりやすい躍動感はないが,名優たちの演技と洒落た台詞のはしばしにユーモアと軽妙な味わいがあり,「恋なんて簡単よ。」アルレッティ演ずるギャランスの言葉にも言い知れぬ深い人生観がにじむ。ジャン=ルイ=バローのパントマイム!まさに至芸,これだけでも一見の価値あり。それにしても,3時間を越える大作だが,アクビもなく引き込まれた。劇場で観たのだが,これを観てから2週間はほかの映画を観る気がしなかった。その場での激情はないけれど,何だか後から効いてくる,いかにもフランス映画らしい歴史的名編。