1.《ネタバレ》 ずっと勝ちにこだわってきて、もはや勝って当たり前だと周りからも見られ、勝ち続ける事への重圧や、決して立ち止まってはならないという自分への戒めから、いつしか卓球を心の底から楽しめなくなっていた風間。
そんな彼の前に、全力で卓球を楽しむ男が現れた。
そいつは自分をヒーローと名乗った。
風間はそいつに対して嫉妬を感じたのではないだろうか。
自分よりも卓球を楽しんでいるペコに。
でも、きっとこんな奴が現れるのを待ち望んで居たに違いない。
風間は初めて勝負を心の底から楽しいと感じる事ができたのだから。
嬉しく嬉しくて仕方がない。
周囲の雑音を振り払い、そこにあるのは真に卓球を愛した二人だけの世界だった。