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1. <ネタバレ>10年前のアニメで、当時、知る人ぞ知るの中では、かなり話題になったアニメ。だけど、僕は今のコロナ禍の世の中でこそ、もっとササる人がいるんじゃないのかなって思ってます。そんな事を考えてると、10周年で映画化の話があるとか。でも実は、僕自身、このアニメ、最初の数話で一度、脱落しちゃってるんです。ボーっとみてるおっさんには、その扱ってるテーマがわからなかったから。死んだ妹が突然、ペンギンの帽子をかぶって生き返って「生存戦リャクーー!」などとわけわかんない言葉を叫んで、女王様みたいな姿に変身して、2人の兄に「ピングドラムを探せ」と命令したり、漫画チックなペンギン3匹が兄妹の元に現れ、行動をともにしたりして、なんじゃこりゃってギャグが急に始まったりする世界観についていけなかったんです。しかし、実は、ものすごい事を子供向けのアニメでやっちゃってます。それを最初は巧妙に隠してます。いや、隠してないか。わかる人には、1話目からわかるようにできてます。じゃー、本当は何を扱ってるアニメなんや?って言いますと、2つのベースが軸にあります。それはオーム教が犯した地下鉄サリン事件と、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」です。この2つをベースに描いていきますよってのが、はっきりと第1話目から提示されてます。どんな風に提示されてるかとゆーと、まずオープンニングの曲で、95ってゆう数字が出てきます。これはもちろん、サリン事件の1995年の95です。さらにCMへのアイキャッチに、東京の地下鉄の路線図が出てきたり、場面が変わったりする時に改札口が出てきたりします。そして、主人公である3人の兄妹が暮らす家の外を2人の子供がモブとゆう存在で、なにやら話ながら通り過ぎるのですが、その話の内容が銀河鉄道の夜の話。しかも、主人公の兄妹の名前が、カンバ、ショウマ、ヒマリ。これは銀河鉄道の夜の登場人物、カムパネルラ、ジョバンニ、ザネリを彷彿させる名前。つまり、物語の合間合間にマジなメッセージがサラッと入ってきて、で、マジな展開中に急にギャグが始まったりする、そーゆうアニメなんです。でもそれは12話目まで。12話目からは完全な姿をさらしてきます。観てる僕もそこからはもう面白すぎて、そーゆうことやったん?と驚いたり、どーなっちゃうのー!とドキドキしたり。で、最後まで見てよーやく理解するんです。これは呪いについてのお話なんだとゆーことを。バブル崩壊以降、問題を先送りしてきた僕ら大人たちの呪い、弱者をないがしろにして、勝ち組だけを救ってきた自己責任論の呪い、自分は特別な存在にならなければとゆう承認欲求ばっかの社会の呪い、不条理な出来事で未来を奪われる呪い、そんな呪いを負わされた何者にもなれない若い世代や弱者たちの生存戦略を描いたお話だったんです。罪の果実であり愛の果実として描かれるリンゴが、どこからきて最終的にどーなるのかを知った時、僕は、なんかよーわからん感動に包まれて泣けちゃいました。あれから10年、社会はどーなったでしょう?コロナ禍の現代ではどうでしょう?さー、みんなで一緒に生存戦略しましょうか。[良:1票]