1.氏の作品は、その作品を書いた年齢が作品自体の特徴に大きく反映していると私は思います。そういう意味では、この作品は、氏が円熟期に入った頃の作品であり、氏自身の年齢から来る心のゆとりが生み出した作品であると思います。江戸は吉原を舞台としたそのほのぼのとした人情劇は読後暖かさを感じさせ、氏のファンで私の中でも一番好きな作品のひとつです。
ただし、作者の年齢が書かせている作品であり、私自身10代や二十歳そこそこでこの作品の持つ味が理解出来たとは思えず、この作品の味を理解するためには、それ相応の年齢が必要とも思えます。