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この世界の片隅に

連載開始2007年
連載終了2009年
コミック数3冊
連載終了
平均点:9.00 / 10(Review 7人) (点数分布表示)
ドラマラブストーリーコメディ戦争ものファミリー
[コノセカイノカタスミニ]
新規登録(2009-05-18)【あにやん‍🌈】さん

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作者こうの史代
掲載誌漫画アクション
出版社双葉社
あらすじ
広島市に生まれ育った、絵を描く事が好きなすずは昭和19年、呉市の、顔も知らない軍人・周作の元へと嫁ぐ。様々な事件を巻き起こしつつも、嫁として戦時下の日常を生きてゆくすずだったが、やがて軍都・呉に戦禍が及び始めるのだった・・・
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3.《ネタバレ》 戦時中の広島・呉の物語であり、表面的なほのぼの感に騙されていると後で痛い目に遭うと思って警戒しながらも、律儀に1話ずつ笑えるオチをつけていて本当に大笑いしてしまうところがある。また「夕凪の街 桜の国」でもそうだったが、現実というより登場人物のイマジネーションを視覚化している部分があったり、何気ない描写に深い意味があったりもするようで、マンガでも映画でも文章のように読もうとしてしまう自分としては、まずは絵で表現されたものをしっかり受け取らなければと改めて認識させられる作品だった。どこまで読み込めば本当にわかったといえるのか、いつまでも自信の持てない物語でもある。

ところで無粋なことをわざわざ書くと、この物語全体の受け取り方に関して、まず①個人の問題としては、主人公が人生の変動期と戦争の受難をくぐり抜けて、今いるこの場所での自分の存在を肯定するに至った話と取れる。同時に②少し広い社会の問題として、主人公を含む人々の家庭生活や近隣社会が、戦争に圧迫されてひどく傷つけられながらも、なお存続していこうとする柔軟なしたたかさが表現されていたとも取れる。また一方では、①②のいわば反転像として、主人公とその家族や周囲の人々に回復不可能なダメージを残した③戦争の残酷さを表現しているともいえる。基本的姿勢として戦争に否定的なのは当然のことであり、その意味で「反戦」的な作品として受け取られるのも間違いとはいえない。
物語中には個人的な立場として気になる箇所もなくはないが、それも含めて無用の対立を呼び起こさないための配慮がなされていたとも考えられる。少なくとも日本人の範囲であれば、さまざまな立場を超えて共有できる場になりうる作品であり、上記①~③をあわせた形で、昭和の戦中期を新たに描き直したという歴史的意義のある著作といえるかも知れない。

なお個人的には心優しく可愛らしいすずさんは大好きだが、その他の登場人物を含め、作中の愛すべき人々が戦争で傷つけられていくのはやはり痛々しい。自分にとって全体を通じたキーワードのように思われたのは、お姑さんの「みんなが…ええのにねえ」だった。
かっぱ堰さん 10点 [全巻 読破](2017-02-02 19:47:36)(良:2票)
2.どこか牧歌的で、穏やかな表現・筆致なのに、そこに清濁併せ持った感情の全てが静かに込められている。

もっと大袈裟に、お涙頂戴的に、押し付けがましい教科書的な作品になってしまいそうな昭和戦時下の日常物語を、こうの史代の真骨頂ともいえる語り口で丁寧・丹念に描ききっている。

こうの史代漫画の神がかり的なバランス感覚は、もう見事としか言いようがない。
aksweetさん 10点 [全巻 読破](2010-09-30 02:19:16)
1.《ネタバレ》 『夕凪の街 桜の国』というひとつの到達点を得た作者が描く、戦時下の広島・呉を舞台にした新作、って読む前は単なる『夕凪~』の焼き直しに落ち着いてしまうのではないかと期待よりも不安が勝る状態でした。連載ではなく単行本で読んでいったのですが、第一話以前のプロローグにあたる部分は既に本編の連載誌とは別のマンガ雑誌で読んでいて、ああ、これもその一部だったんだ、と。それは『夕凪~』よりもコメディ主体の、従来のこうの作品に近く、続く本編も戦時下の日常を生きる天然キャラすずのコメディというカタチで描かれてゆきます。上・中巻では従来型こうの風味と『夕凪~』的ヒロシマの物語とが、一体どういうところに落としどころを見つけてゆくのだろう?という感じで世界がいまひとつ掴みきれない感じがしましたが、下巻において従来型も『夕凪~』もない、実はそれらを遙かに超越して最早マンガという表現メディアの極致にまで高められてしまったんじゃないかという凄い存在である事に気付かされました。何気ないアイテム、挿入される絵、タッチの違い、それら1つ1つに意味があり、1つの作品として閉じた時、最初に読んだ幾つものエピソードが全く別の意味を持ってきます。全てが戦争に翻弄され、それでも「戦争のある日常」を生きたすずの物語を紡ぐ大切なエピソード、アイテムであった事、綿密に張り巡らされた伏線によってプロローグ3話、本編45話が最初から計算され尽くした上で描かれていた事をまざまざと見せつけられ、そして最後に「歪んだ世界」が花開くように再生してゆく、そのさりげなくも感動的な幕に「凄いものを読んだ」と心を激しく揺さぶられるのでした。イデオロギーを超越し、映画でも小説でも決して到達し得ない、マンガ独自の力が辿り着く世界を、できるだけ多くの人に触れて頂きたいと切に願います。
あにやん‍🌈さん 10点 [全巻 読破](2009-05-19 20:15:06)
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【点数情報】

点数分布 [全巻未読] [全巻読破]
Review人数 7人
平均点数 9.00点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
500.00%
600.00%
7114.29%
8114.29%
9228.57%
10342.86%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 タイトルマッチング評価 10.00点 Review1人
2 ストーリー評価 10.00点 Review1人
3 鑑賞後の後味 10.00点 Review1人
4 感泣評価 10.00点 Review1人
5 爆笑評価 10.00点 Review1人
6 作画力評価 10.00点 Review1人

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