1.マンガエロティクスFに連載されていたバラエティ豊かなシリーズ。お得意の同性愛ネタから幽霊もの、主婦や子どもが主役の割と地味なお話まで、どれも面白い。長編もいいけど、この連作短篇はいろんなアイディアで自由に遊んだおもちゃ箱のような印象で、作者自身もきっと楽しんで書いたんだろうなという感じがする。志村さんは短編作家としてもとても秀でていると思う。
ちょっとHな部分も全然エグくなく(第一話は別か?)、むしろ可愛らしい。登場人物の営みとして素直に受け止められた。物語は常にやんわりと着地する。ときにはつげ義春の某有名短篇を思い出させるような気の抜けた感じで。とくにしんちゃんとみか、志乃と民子のカップル、あとひとりで悶々とするゲイの高校教師のエピソードが好きだ。
長編連載を追うのもいいけれど、こういう質の高いコレクションもまたそのうち読んでみたい。