1.「もうダメだー」。レンタルした最新12巻を読んだ直後、そうつぶやいていた。
何がダメなのか?
これまで何回か、このマンガをレンタルで読んでいたけど、もう全巻買わないと気が済まなくなったっていうこと。
このマンガが面白いってことはわかってはいたけど、休業中の殺し屋とヤクザなんてテーマだから、買って本棚に並べることには抵抗があった。
でも、面白すぎる。
特に、この12巻で見せた、9巻の伏線を回収する決めゼリフには、ちょっとゾクゾクって体が震えたし。
南勝久って、ここまでマンガがうまい人だったっけ?
自分の中では、「ヤンキー、車、暴力、女」っていう、いわばヤングマガジンのテーマに沿って、「ありきたりのマンガを描く人」っていう認識だった。
決してマンガが下手ではなかった(だからこそ前作は10年以上続いた)けど、かと言って、全巻買おうなんて思いもよらなかった。
床屋やラーメン屋にあれば読んでみるけど、店出たらすぐ忘れるような、そんな存在。
ただ、前作から「悪人を描くのがうまいなー」とは思っていた。
悪人がうまいと、ひどい目に合わされる女の子は本当にかわいそうだし、悪人をやっつける正義漢にスッキリする。
そのセンスがこの「ザ・ファブル」では爆発してる。
悪人は本当にあくどすぎるし、女の子はいくらなんでもかわいそうすぎる。
「これはひどすぎる」そう思った瞬間にちゃんと主人公は登場してくれる。
そのタイミング、センスの良さに脱帽。
日常時の主人公のトボけ方との緩急も絶妙。
まだ連載中だから9点止まりにしておくけど、大人向けエンタテイメントの現役最高峰だよ、これは。
<<2018/3/7追記>>
13巻が発売されて早速読んだけど、これまた凄すぎる。
ウツボ編の納得ラストと、その後のクリスマスパーティーで大笑い。
殺し屋の物語なのに、「平凡な日常がいかに貴くて大事なものか」なんてことを考えさせられる。
まだ連載中だけど、今のところ傑作中の傑作。
もう我慢できない。ケチらず10点に変更!