1.《ネタバレ》 読んでいると、超強烈なトンデモ本の誕生にリアルタイムで立ち会っていることを実感する。ある意味、面白い。
きっと作者は刃牙と勇次郎を、完璧に世界最強の存在にしたいのだろう。銃や爆弾を持ってきても殺せない、国家権力ですらただの腕力でねじ伏せてしまう、絶対無敵の格闘家に仕立て上げたいんだろう。でもはっきりいってそんな発想はひどく子どもじみているし、そんなばかげた空想を真面目に語っても誰もついてきてくれやしない。
王牙を初めとする各人物のエピソードは完全に常軌を逸している。勇次郎が走っただけで人工衛星にズレが生じるとか、生まれたその日に世界各国のトップが核の保有を決意したとか……なんというかもう、失笑という言葉では生易しいくらいに失笑もののエピソードが満載。はったりに関してはドラゴンボールよりすごい。
カマキリとの対決にも唖然としたけど、のちに原人ピクル編とクロスした時点で、完全に白けた。これまでSF的な世界観をまったく創り上げてこなかったくせに、いきなりジュラ紀(白亜紀?)から甦った原人を出されたって、読者が受け入れられないのがわからなかったのか? 全体的に支離滅裂だけれども、とくにピクルの登場はシリーズ中最悪の愚挙。マスターベーションにも限度がある。
第一部から読んできた者としては、「バキ」が単なるギャグマンガに成り下がってしまったことが、残念で仕方がない。