1. あしたのジョー
子供の頃は華々しいカーロス・リベラとの連戦やハワイ遠征が好きだったけど、今改めて読むと、力石の死からジョーが立ち直るまでのエピソードが凄く読める。「ぼんやりつっ立っているだけでも、息をしているのさえ苦しくなってくる・・」「どういうことだい・・なぜおれはこれほどまでに苦しまなくちゃならないんだ・・」という状況は、おそらくほとんどの人が人生の何らかの局面で体験するのではではなかろうか。この状態からジョーが立ち直るまでを本作はじっくりと描く。力石の死が8巻の最後、リベラとのエキシビションマッチによって完全復帰するのが13巻の前半。立ち直るまでに、なんと4巻以上の分量を費やしている。この辺りは本作が名作として語り継がれる重要な要素の一つに思う。 個人的にジョーの性格や生きざまにはあんまり共感は覚えないけど、取り巻く人たち一人一人の人物像や当時の風俗がホントに良く描けてる。改めて読んで個人的に新鮮だったのは、マンモス西を社会人として立派に更生させた乾物屋の林屋親子。今風の人間関係ではちょっと想像できないザ・昭和戦後。 8点(2022-08-15 23:19:08) |