この作品のすごいところは、最後の山王戦が、誰が見てもわかる山場だということですね。他のジャンプ漫画は、人気が出るとダラダラ続いてしまう傾向があるのですが、この漫画はテンションがあがりきった山王戦でスパッと終わってしまった。だから余計に名作だと思えるんでしょう。バスケという題材自体は当時目新しかったですが、ストーリー的には、決して目新しい事をしているわけではありません。派手な必殺シュートがあるわけでもなく、むしろスラクダンクというタイトルなのに、最後に主人公が放ったのはジャンプシュートという、最も地味なシュートでした。それでも読者が感動できるのは、やはり著者の力量が非凡だったということです。魅力あるキャラ、コマ割りの巧みさ、いろいろありますが、とくに目立ったのは画力の向上でしょう。最終巻では、まるまる一回ほぼ無音で絵のみ、という回がありましたが、それでもどういう状況かが分かり、違和感なく試合に引き込まれてしまいました。巻が進むほどに、バスケットというスポーツが、奇をてらわずにリアルに描かれた傑作です。

10点（2008-07-23 12:22:17）

「念」というシステムは、天才的な発想の賜物だと思います。他の漫画で無節操に使用されている“気”や”オーラ”などの類いを、曲がりなりにも系統的に整理してしまったのですから。正直、“能力”や“～系”などの力を使うバトルものでは、他とは一線を画しているレベルにあると思います。他の漫画で「俺の能力は…」とか使われていると、もういいよ！って思ってしまいますから。グリードアイランド編では、漫画内で一個のゲームを創作する、という荒技も見せてくれました。またそれが設定倒れではなく、きちんと活用されていて、漫画として面白いのが素晴らしいです。絵も独特の味がありながら、格好いいキャラは格好良く、かわいいキャラはかわいく描けており、人気の出るツボを押さえていると思います。休載が多いのは残念ですが、それだけのクオリティを持った漫画ですね。職業人としては失格ですが、描かれる漫画は本当に素晴らしい。というかもうジャンプ所属じゃなくていいのでは？

10点（2008-07-23 11:49:35）（良：1票）

掲載誌やパッと見から、ずっと”萌え漫画”だと勘違いしていました。でも、読み始めると全然違いました。老若男女幅広く楽しめる傑作だと思います。ありふれた日常を見事に描いている漫画なんですが、こどもにとっては、ありふれた日常なんてないんですよね。すべてが目新しくて、意味のない事にも想像を膨らませて、無駄にワクワクドキドキしてましたから。そんなこどもの時の気分を、主人公であるよつばは思い出させてくれます。もちろんよつばのキャラは、漫画的にもおもしろいので、見ているだけで飽きません。よつば以外のキャラも、おもしろおかしく描かれていますので、ただの癒し系漫画ではなく、エンタメ的なおもしろさも兼ね備えた漫画に仕上がっていると思います。この作者さんは、絵もうまいです。しかもカッチリしてない絵が、内容とマッチしていていい感じだと思います。5巻あたりから背景もフリーハンドで描かれていて、個人的にはツボです。話も絵もキャラもいい、それでいて、何も考えずに楽しい気分になれる、今までありそうでなかった漫画です。

10点（2008-07-23 11:24:22）