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《ネタバレ》 つい最近読み終えたのだけれど、少年時代に読まなかったのが本気で悔やまれる。
とにかく、熱い。うしおはいかにも少年マンガ的な主人公に輪をかけたような性格で、明るくてバカで乱暴で、真っ直ぐで正義感が強くて、絶対にあきらめない不屈の意志を持っている。しかし典型的なキャラクターであるようでいて、不思議と厚みがあり、ひとりの人間としての存在感がある。台詞もまたびっくりするほどきれいごとばっかりなのだが、なぜか鼻で笑ってすませることのできない説得力を持っている。 これはきっと作者が、ほんとうに胸の底から湧き出てきた自分の“声”を作品に乗せているからだと思う。エピソードのなかには明らかにご都合主義のものも散見されるんだけど、それを許せてしまうだけのほとばしるようなエネルギーがある。作者が心血を注いで描いたものだということがはっきりと感じ取れる。 そして何よりラストに向けて収束していく物語展開が素晴らしい。当時全盛だった少年ジャンプの連載が編集部の意向でだらだらと延ばされていったのに対して、本作はあらかじめ予定されていた大団円を迎える。この最終回、涙をこらえるのは難しい。しかも作者があとがきで「このあと登場人物たちはみんな幸せになりました」と断言。これは反則だっ(泣笑)。 明日を信じること、人を信じること、正義を追い求めること。少年マンガのもっとも素朴なテーマを嫌味なく、完璧に昇華させている。こんなに強くてあったかくて、気持ちのいいマンガはない。 【no one】さん 10点(2007-10-26 00:37:12)
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