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徳弘さんのギャグは苦手なんだけど、これに関してはかなり引き込まれた。
たぶんセックスを前面に押し出したことが功をそうしたのだと思う。狂死郎と志乃はバーチャルリアリティの世界で出会って愛し合うようになるものの、どんなに求め合っても結局はバーチャルでしかなく、生身では触れ合うことができない。セックスはできるのに、満たされているようで満たされていない。快楽を重ねるごとに誤魔化せない寂しさと空虚感が積みあがる。お互いにさんざんひどい目に遭っても助け合うわけにも行かず、独りではないとわかっているのにどうしようもなく独りだ。だからこそ死地を乗り越えて志乃に会いにいく狂死郎の愛が、切実なまでに真に迫ってくる。大筋ではお涙頂戴のラブストーリーでしかないはずなのに強い説得力があり、ほとんど息苦しいほどだ。 下品なギャグがてんこもりだから楽しく読めるけど、実はとんでもなく切ないラブストーリー。これでシリアスタッチだったら読むのも辛かっただろう。徳弘正也以外には誰にも描けない、唯一無二の傑作恋愛漫画だ。 【no one】さん 9点(2007-11-29 01:45:01)
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