1.《ネタバレ》 TVシリーズの開始に当たり、まずは番組世界を一通り紹介するよう努めている。
基本設定として、地球にはすでに宇宙からの侵略に備えた「地球防衛軍」があり、番組の舞台になるのはその「極東基地」であること、また基地内に特別チームの「ウルトラ警備隊」があることを説明している。その上で隊員、基地内と装備品(航空機、特殊車両)を紹介し、ウルトラホーク1号の「分離飛行」も見せていた。
ウルトラセブンについては人間サイズも巨大化も可能であり、また武器としてエメリウム光線、アイスラッガーとカプセル怪獣があることを見せている。終盤では宇宙空間が戦いの場になりうることを示した場面もあった。
しかしドラマ的には変なところが多々ある。特に、すでに地球防衛軍という大がかりな組織があるにも関わらず、実際に宇宙人が攻めて来たのは今回が初めてだったかのように見える場面は完全に変だった。また番組世界の紹介を優先したためか必然性のない不自然な展開になったところが多く、さらに時間の関係からか台本にあった場面が省略され、ウルトラセブンの出現に対する人々の反応や、命名の由来に関するエピソードがなくなっていたのは初回として明らかに不足が生じている。
特撮では一応、京浜工業地帯の全滅とか着ぐるみ怪獣の出演もあったが全体的に地味な印象に終わっている。今回はまあこの程度として、次回以降の盛り上がりに期待する感じだった。
宇宙人については「クール星人」と名乗っていて、クモを思わせる形状だが第9話のチブル星人と被る雰囲気もある。この昆虫風の生物(クモ似だが脚は6本)が、人類を昆虫扱いしていたのは単なる皮肉とずっと思っていたが、しかし視聴者である児童にとって、標本というのは専ら昆虫を捕えて作るものというイメージがあったからこそ、あえて昆虫型の宇宙人にしたらしいことに今回初めて気づいた。自分らが標本にしていた昆虫に逆に標本にされるのは素朴な恐ろしさがあるとはいえるが、ただし先行シリーズ「ウルトラマン」の三面怪人ダダも人間標本を作っていたので特に目新しくはない。
またウルトラ警備隊の隊員は、年齢と隊歴の間に22年の差があったので四年制の士官学校(防衛大学校のようなもの)を出たのだろうが、紅一点のアンヌ隊員だけが隊歴不明なのは気になる。なお「あなたの地球」という台詞が不自然なのは前の場面が省略されたからである。