3.《ネタバレ》 無難にまとめて綺麗に終わったなという印象、ということで8点。もしこれがほろ苦い展開に全力で振り切ってたら10点あげたかも。
結局、劇中では鐘は鳴らさず、視聴者に判断を委ねたのが印象深い。前回の土下座と涙といい、このドラマ、あえてその場面を直接描かずに、視聴者に考えさせる演出が多く、なかなか昨今のドラマでは珍しいと思った。カメラワークには多少ツッコミを入れたいところもあるが、好印象。
しかし素直に良いと思えるドラマだった。多少の誇張はあるにせよ、世知辛い社会に翻弄され、必死にあがく人々を丁寧に描いてきたと思う。
下町ロケットのような山あり谷ありの勧善懲悪の世界、逃げ恥やおっさんずラブのようなテーマは重くても登場人物皆が心優しく爽快な世界も悪くはないし、否定する気もないのだが、自分はこのドラマのシビアでほろ苦い世界の方が、より現実に近しいと思え、共感ができ、のめり込んで鑑賞ができた。
ドラマなんだから気軽に快適に観させろ!という意見も判る。
判るのだが、こういう苦くて、しかし丁寧なドラマもあっていいのではないか。辛かろうが、ときに不快な展開があろうが、作り手の熱い思いが伝わり、観る側の記憶に強く残る限り、それは意味があるものだ。本作は印象深いシーンも多く、また様々なメタファーが仕掛けられていて、また時間があるときに観てみたくなるようなドラマに仕上がっていると感じた。視聴率は振るわなかったが、記憶には残る良いドラマでした。