1.《ネタバレ》 近未来から何かが来たというSFっぽいエピソードである。劇中の説明によれば、地球の西暦で書いてあるからといって未来の地球人というわけではなく、2020年時点での他惑星の生物が、空間と時間を越えて1966年の地球に来たと取るしかない。
ちなみに今になってみると、その2020年がもう目の前に迫っているというのは非常に感慨深い。この番組が放送されたのは東京オリンピックの2年後だが、その時点から54年後に東京でまたオリンピック(+パラリンピック)が開催されるとは当時誰も思ってなかったろう。
今回は液体が動いて人を襲うというのが嫌な感じだが、加えてこの液体(「消去エネルギー源」)に触れた者が、どこかの世界に連れ去られてしまうというのが子どもにとっては非常に怖い設定だった。いったん安心させておいてからのラストも後味が悪い。
またケムール星から来た怪人は外見も出方も不気味で、この番組に出る怪獣・宇宙人の中で一・二を争う強烈な印象がある。なぜか頭についている管からときどき液体を噴出するのが気色悪く、最初は感電して慌てた場面で出たのでいわゆる“小便ちびる”というようなものかと思ったが、外部情報によればこれが消去エネルギー源だと説明されているらしい。特殊効果なしで軽々と跳ねる演技をしていたのは中の人(古谷敏氏)が頑張っているなという感じだった。
ほか特撮場面では「ジェット哨戒機」(F-104J戦闘機)が2機ともやられた場面や、ケムール人が巨大化する場面で液体イメージの映像を合成していたのが目新しい印象だった。
登場人物では、今回は江戸川記者が大活躍する回になっている。男社会をものともしない強気の新聞記者のようでいて「こわいじゃないの」など、第一線の職業人と女の子っぽいところをちゃんと両立させており、これは男女共同参画的な観点からの見本と思われる。ラストで逃げていったのも笑われていた。
ちなみに江戸川記者が遊園地からデスクに電話する場面は面白かったが、ここで「さいかち」と言っているのは意味不明だった。サイカチでは植物の名前になってしまうだろうが、「才槌」(さいづち)であれば「才槌頭」という言葉が昔あったので(1949年の映画「虹男」の原作にも出て来る)、もしかすると「石頭」から連想された言葉だったのかも知れない。BD特典の台本にも「サイカチ」と書いてあるので脚本段階からの間違いと思われる。