1.《ネタバレ》 今回登場のゴーガは第2話のナメクジと被る雰囲気もあるが、殻が底光りするとか胴体のヌメヌメ感はよくできている。造形物は大中小の3つ作ったとのことで、特に最初に小が出てきた姿は愛らしく、人目を避けて隠れた姿にも愛嬌があったが、それでも人を攻撃すれば「顔がありません」という状態になるわけなので侮れない。映像では怪光線で攻撃していたが、台本段階では「溶解液」だったようで恐ろしい。
街で暴れてからは割と簡単に退治されてしまったが、それでも日本橋近辺が破壊され、「神田一帯」のどこかが大火災になる程度の被害は出していた。
話の内容としては密輸集団と秘密機関の戦いによるスパイものの風情があり、「横浜倉庫」の大爆発やスナイパーの場面などがそれらしく見える。そこに怪獣が絡んで来るのは、東宝特撮映画だと「宇宙大怪獣ドゴラ」(1964)のようなものということになる。
その上さらに古代の呪いが現代に蘇って悪の都を滅ぼす趣向も入っている。「六千年の呪い」というのは、単純に1966-6000=-4034でもないだろうが年代スケールを示す数字ではあり、ユダヤ教・キリスト教の創世記に匹敵する古い伝承がアーブという国(Arab→Arb?)にはあったのかと思わせる。今回たまたま放射線のせいでゴーガが活性化されてしまい、攻撃で一応死んだかと思ったが、地下に潜って待機状態に戻っただけのようでもある。現代社会はまだ古代帝国ほどの悪の世界ではない(らしい)が、いつかまた日本でゴーガが蘇ることのないよう自戒が必要だという一応の教訓話にはなっていて、それほど感心はしないが型どおりではあった。
なお脚本上は、情報を小出しにしながら設定の全体像を徐々に明らかにしていく試みがあったようで、古代の伝承は2段階、謎の人物の正体は3段階で全貌が見えるようになっていた。
登場人物について、香港から来た謎の人物は日本語を話していたが結局何人だったのかわからない。演者の荒砂ゆき(当時:田原久子)という人は個性的な容貌が印象的だが、その後はお色気女優として知られることになったらしい。映画「八つ墓村」(1977)で、丹古母鬼馬二氏とともに斬殺される役がこの人だったようである。
また特撮関係で著名な古谷敏氏(ケムール人、ラゴン、ウルトラマン、アマギ隊員)が珍しく顔出しで出ていたが、その顔がなくなったと言われて退場してしまっていた。