1.《ネタバレ》 要は怪談エピソードである。防衛基地内に幽霊のようなのが出て事件を起こすが、実際にやっていたのが地球防衛軍の機密を盗み出すという行動だったことで侵略宇宙人のせいだとわかり、当然のように撃退される話になっている。
とかく怪獣番組で怪談を扱うと、最後に巨大怪獣との戦いになった段階で解放感が出てしまって怖い雰囲気が失われるイメージがあるが、しかし今回は着ぐるみ怪獣が出ないこともあってそうした問題は感じられない。画面が終始うす暗い雰囲気で、事件の始まりから最後のコミカルな部分までが違和感なくつながっており、盗まれたデータの転送経路に沿って舞台が防衛基地から夜の地上へ、夜空へ、宇宙へと広がって行きながらも、最後まで怪談の趣を損なわずに済んでいたように思われる。
加えて今回は、いかにも何か出そうな場所で怪談を語るのでなく、先端科学を集めた地球防衛軍極東基地での事件にしていることで、怖いながらも勇気が出るというか、みんなで向かえば怖くないというか、とにかく「おじけづく」より「武者震いが出る」感じの怪談になっている。最後の場面でみなが変にふざけ合い、ソガがおどけたりしていたのは、事件が終わっても武者震いの余韻がまだ残っていたとも見える…というより隊員も内心ビビっていたということか。
今回の心霊現象に関してダンが荒唐無稽ともいえる説明をした際は、キリヤマ隊長もさすがにエエッ?と微妙な顔をしていたが、しかし結果としてウルトラ警備隊の面々が表面的な現象の怪しさに惑わされず、常と変わらない現実的な行動をしていたのはさすがである。たとえわけのわからない事件でも、あくまでウルトラ警備隊らしい対処をすることで、今回は変な超常現象をウルトラセブンの番組世界にうまくくるみ込んでいた印象があった。着ぐるみがセブン以外に出ない地味な回ではあるが、そこを物語の面で補った楽しいエピソードになっている。