3.《ネタバレ》 今回は物語が大きく動いたため、ちょっと採点が甘いが9点とする。
前話で剥き出しになった野郎どものエゴに対して、女性陣が連帯していくのが目に見えてわかった。
京谷の「可愛くない」発言にブチ切れる松任谷の姿が非常に印象的。そうだよな、「女の子には可愛くあってほしい、あるべき」なんてのは野郎の勝手な価値観だものな。しかし現実の社会だと「女の子にはこうあってほしい、こうあるべき」と考え込んでいる野郎どもがいかに多いことか、そしてそういう奴らほど仕事はできてしまうのだ。
観ていて面白かったのは、悪意はないにせよ価値観の押し付けをやってしまう京谷が、仕事に関しては、冷静かつ寛大な判断が下せる描写があることだ。プライベートでは価値観の押し付けや決断力のなさで女たちを疲弊させる彼だが、仕事はきっちりとこなしてしまう。彼を単なる駄目な彼氏として描かないところに、私は好感を持つと同時に、価値観の押し付けをやる嫌な男でも、仕事はできていて、周囲からは評価されてしまう、という皮肉を感じた(一方、松任谷はいかに真っ当な感性を持っていても、仕事は出来ていないから、周囲から評価されない、堂々と声を上げることができないのと対照的に)。
あと他に、海を背景に別れを切り出すシーンも良かった。今回はあの挿入歌を入れるタイミングも悪くはなかったと思う。
最後は、松田龍平。いいねえ、晶を援護して思いっきり毒を吐いていくあの様子。それから晶に叱られても、まだブー垂れる様子。器用そうでいて物凄く不器用な男の役は彼の真骨頂だろう。
補足
京谷のマンション購入がリアルかどうかにつき、リアルでないとの評があったので、不動産業界の人間として少し補足を。
大手不動産に勤務していて仕事が出来て(インセンティブをそれなりに貰っていて)、職業柄物件情報を入手しやすいという立場を考えれば、京谷のマンション購入は、あり得なくはない、というところだ。
2LDKで1階オートロックだが、廊下が今からするとやや昔の外廊下タイプなのを見ると、もしかすると比較的築浅の中古分譲を買ったのではないか?オーナーの事情で早期売却するために相場より値段を下げた物件を、エンドユーザーに流す前に不動産会社の社員が購入してしまう、というのはよくある話だ。
仮にそうだとすれば、そこまで荒唐無稽でもないと観ていて思った(あとその説でいくと、やはり京谷は若くしてそこそこの年収を得ている、仕事は出来る人間、ということになる)。たぶん制作側もそこまで考え込んでないと思うが、もし仮にそこまで設定を練り込んでいたら、不動産業界勤めの人間としては、リサーチが凄いと感心する。
ちなみに京谷のマンション購入がリアリティがないと言うなら、ガッキーの家の賃料設定の方がリアリティがない。文京区なら1Kでも8万前後は見ておかないと厳しい。6万3000円は安過ぎる。ただ文京区でも豊島区寄り(ロケ地が豊島区雑司ヶ谷で、文京区に隣接)の築古、かつ面積の狭い物件ならば、たまに激安物件が現れるため、これもリアリティがないと言い切れないところがある。
なんかこの補足を書いていて、脚本家がけっこう際どいところで設定をしているな、と思った。もしかすると本当にリサーチして設定をしているのかも。